近況
組織に身を置いて活動するときの大きなメリットのひとつに「その組織内の資産に、極めて低いコストでアクセスできる」があります。ここでいう「組織」は「会社」「チーム」などに置き換えて読んでもらっても構いません。
組織が活動の中で蓄えた有益な情報にアクセスできるのは便利ですよね。組織に導入されているツールを自由に使えるのもありがたい。同じ組織にいる人には気軽になにかを相談したり、作業を依頼したりできます。こうして、組織が有する資産を適切に活用してスムーズに作業をこなすこと、目的に向かって勢いよく進むことができます。
逆にいえば、組織という形を取りながら「情報資産が蓄積されていない」「ツールの標準化が進んでいない」「メンバーに気軽に話しかけられない」といった状況であるならば、その組織は組織としての強みを発揮できていないということになります。個々人がばらばらに1倍のパフォーマンスで作業を進めているなら、組織の強みを高めまくっている競争相手に勝つのは難しいでしょう。
こういった考えがあって、ぼくがなにかしらの形で関わる組織においては「情報を蓄積しましょう」「ツールの標準化を進めましょう」「気軽に声を掛け合っていきましょう」等をしつこいくらいに言い続けるわけです。競争を志すような組織じゃないなら、その限りではありませんが。
今年は、特定の場にフルタイムで身を置くことはせず、いくつかのプロジェクトにちょっとずつ顔を出して「この作業、ぼくがやりますね〜」とタスクを拾って終わらせるような動き方をしています。プロジェクトのいくつかはこれまでソフトウェア・エンジニアがいなかった現場で、ぼくから見ると「こことこことここは、少し整備するだけで一気に楽になりそうだな」と伸びしろが見つかります。
その場にソフトウェア・エンジニアがひとりいると、小さな相談が少しずつ生まれてきます。「実は、◯◯で困っていて」「すごく困っているわけではないものの、どうにかなったらうれしいものがあって」などの相談があると、ぼくはわくわくしてきます。
これは、ソフトウェア・エンジニアが組織の輪の外にしかいないと、相談として具現化しない類のものに思えます。受注側からすると一度の仕事でまとまった額のお金を稼ぎたくなりますから、発注側もある程度まとまったものを相談しなきゃいけなくなり、小粒の相談って「ま、そこまで困っていないし」で流されがちですよね。ソフトウェア・エンジニアリングへのアクセス容易性を高めることで社会のソフトウェア活用がもっともっと進んだらいいな、と思いながら、まだソフトウェアが行き届いていないところに足を運ぶようにしています。
「ソフトウェア・エンジニア」を「デザイナ」に置き換えてみても、同じようなことはありそうですね。そこにデザイナさんがひとりいてくれたらクオリティがぐっと高まるようなこと、本当にたくさんあると思います。
ソフトウェア・エンジニアがたくさん集まるような場にいくと、ぼくは居心地のよさを感じます。話は通じるし、最新の技術の話題をたくさん聞けたりするし、単純に友人知人が多いからってのもあります。だけれども、同じ専門性を持った人たちで集まってばかりいるのではなく、他の専門性を持った人たちとのやりとりを増やして、いろんな掛け合わせが生まれる瞬間をもっと見てみたい、と思うのです。
今週の撮影
また次の日曜日くらいに配信予定です
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